NPO法人 日本アレルギー友の会

28.11.13 講演会レポート

2016年12月24日

講演会「患者必見!アトピー・ぜんそく最新治療法」レポート

さわやかな秋晴れとなった11月13日、東京・神田のフォーラムミカサエコにおいて講演会が開催され、多くの方にご参加いただきました。

会場後方に設置された協賛企業各社のブースでは、アレルギー治療に関するさまざまな情報の提供やスキンケア用品のサンプル配布などが行われ、来場された方々が興味深く手に取る姿が見られました。

友の会の堀内理事長の挨拶と当会の紹介に続き、第一部としてお二人の専門医の講演が行われました。

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講演1「アトピー性皮膚炎の現在と未来」

東京大学大学院 医学系研究科皮膚科学准教授 菅谷 誠先生

当会常任顧問の江藤隆史先生の講師紹介の後、菅谷先生のアトピー性皮膚炎に関するお話が始まりました。

アトピー性皮膚炎の定義、2016年に発表された新しい診療ガイドラインの解説がスライドを交えて展開され、専門的な内容ながらも一般の人たちにもわかりやすくポイントを押さえたお話を聴くことができました。ガイドラインでは薬物治療、外用療法・スキンケア、悪化因子の検索と対策が治療の基本となること、また、皮膚炎の再燃を予防するプロアクティブ療法、患者本人が納得して積極的に治療をやり遂げようとするアドヒアランスの大切さなどが紹介されました。

中でも耳目を引いたのは、将来有望とされる新治療薬の話です。Th2細胞が作るIL-4受容体や、抗IL-31抗体などの研究がさらに進み、治療の決め手となる新薬が開発されれば、私たち患者にも光が見えてくるかもしれません。

講演2「アレルギーって何?―知っておいて損はないアレルギーのあれこれ―」

横浜市みなと赤十字病院アレルギーセンター センター長 中村 陽一先生

当会常任顧問の坂本先生の講師紹介に続き、中村先生からアレルギー全般についてご講演いただきました。

異物が体内に取り込まれた時に起こる過剰な免疫反応がアレルギーで、その病名はどこで起こっているかに着目した気管支ぜんそく、アレルギー性鼻炎、接触性皮膚炎、アナフィラキシーや、原因に着目した昆虫アレルギー、花粉症、食物アレルギー、職業アレルギーなど多様なものがあることを解説していただきました。

また、花粉症のアレルゲン(アレルギーの原因となる物質)は日本ではスギ・ヒノキが主なものですが、外国では国によって異なること、さらに現代人にアレルギー疾患が増えていることの原因推測など、幅広い視点からのお話を聞くことができました。

最後にはぜんそく治療のポイント、さらにアトピーやぜんそくなどの慢性の病気はすぐに命に関わることはないが、が長い目でうまくつき合っていく必要がある、といった患者の心構えに通じるお話などがありました。

講演3「希望を見つけた私の体験―アトピー・ぜんそく体験発表―」

 ぜんそく部門では桜井修子さん、アトピー部門ではこのレポートを書いている私・田口よりそれぞれ体験談を発表しました。

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 桜井さんも私も、患者として病気と向き合ってきた長い道のり、つらい体験を乗り越えて治療を続け、ようやく希望が見えてきたことをリアリティーあふれる言葉で語りました。

それぞれ常任顧問の先生から心強いコメントもいただき、今までの苦労が報われたような気がしたものです。また、これからも地道に病気とつき合っていくことの励みになりました。

私たちの話がわずかでも同じ病で苦しんでいる方たちの心に届けば幸いです。

当日会場に設けられた友の会の入会案内コーナーでは、講演の後新しく会員申込をしてくださった方もいたようです。

今回の講演は友の会のWeb会員になっていただければ、インターネントを通じて動画を視聴することができます。また、先生方の講演内容と私たちの体験発表は、今後この「あおぞら」に順次掲載していく予定です。

第二部の「講師を囲んでQ&A」ぜんそくグループ

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満員の会場

 

 

 

 

 

 

第一部講師の中村陽一先生・当会顧問の坂本芳雄先生を囲んで、活発な質疑応答が交わされました。受付で配布された質問票にはたくさんの質問が書き込まれており、先生方はひとつひとつの質問に丁寧に答えてくださいます。

 「ストレス」「空調」など、喘息そのものというよりも、環境整備や心理的な話や、「好酸球」「EGPA(好酸球性多発血管炎性肉芽腫症)」など、普通の喘息患者からするとかなり難しい話もありました。

具体的なやり取りをいくつかピックアップしましょう。

質問「A薬とB薬、どちらが効きますか?」中村先生「人によります。副作用も人によって違います。」

この「人によって違う」当たり前のようですが、自分事となると案外忘れてしまうものです。

質問「青年期にはおさまりやすかった症状が、高齢になってからおさまりにくい」

中村先生「吸入薬の使い方の問題があるかもしれない。たとえうまく出来ていても、半年に一回はチェックすること。」

吸入薬の使い方については、主治医や吸入薬に詳しい看護師さん・薬剤師さんに、定期的な見てもらうことが重要です。自分では「うまく出来ている」と思いがちですが、知らないうちに「落とし穴にはまっている」場合もあるようです。

質問は様々でしたが、先生方が確認するポイントは共通している部分もありました。

①専門医の診察を受けているのか?

②呼吸機能検査や気道過敏性試験などの検査をしたか?

③そもそも、喘息なのか?(咳や息切れなどの原因が喘息ではない可能性もあること)

④自分の症状・困っていることを主治医ににしっかり伝えているか?

⑤症状・原因・治療は人それぞれ

 講演会での「講師を囲んでQ&A」はセカンドオピニオンの機会でもあります。上記のポイントを押さえながら質問すると、貴重な機会をより活かすことになると思います。

 「書籍やインターネットでは得られない解決のヒントを手に入れたい」「専門医に質問したい」とお考えの方へ。講演会・Q&Aへのご参加をお待ちしております。明日からの治療をより良いものにしていきましょう。

 

アトピー性皮膚炎Q&Aレポート

医療従事者の方からの質問もあった

第一部と同じ会場で、第二部のアトピー性皮膚炎Q&Aが行われ、今回は珍しく親子連れで参加された方や、ご年配の方まで幅広い年齢層の参加者にお集まり頂きました。

事前に参加者にご記入頂いた質問票を元にQ&Aを行いました。質問では、アトピー性皮膚炎を持つ息子への接し方についての質問から、中には現場で働く医療従事者の方からの質問もあり、産科・小児科では乳児に薬を塗らないのが当然だったが、現在の皮膚科の考え方では、乳児の頃から保湿剤を塗る方がアトピー性皮膚炎を発症しにくいという結果を聞き、どちらが正しいのか?といったものまでありました。かつての通説が覆されると、医療現場も混乱している状態である事が伺える質問でした。

他にも処方された薬をちゃんと塗っていても、見た目で症状が治ったと独断で薬を塗る事を止めて症状が再発するというケースも見受けられました。

また、薬を塗っているのに症状が改善しないという場合は、ちゃんと医師に相談する必要性も先生に解説頂きました。なぜなら当初の症状の診断とは違う病気である可能性があるからです。

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回答してくださる菅谷先生

と江藤先生

 

 

 

 

 

病気への対応が遅れると次第に精神が疲弊

アトピー性皮膚炎の治療法にも外用薬から内服薬、光線療法まで多種多様ですが、それぞれに長所、短所があります。その中で一番いい方法を医師と相談した上で、治療にあたる事が治療において一番の近道ではないかと自分は思います。

何事も初動が大切です。病気への対応が遅れると、次第に精神が疲弊してしまい、通院すらできず、引きこもってしまい手に負えなくなっている患者の家族からの質問も多々あります。

本人が勇気を出して講演会に参加してほしい

患者本人ではなく、その家族や親戚が質問を書いて提出頂くパターンが多いので、内容が曖昧だったり、実際に講師が患者本人の肌の状態を見ていないので、質問の内容だけでは症状の判断が出来ない事が間々あります。

患者本人が自ら質問して、ほんの1分だけでもいいので直接、一流の先生に肌の状態を診察して頂けるのは大変有意義だと思います。参加されている皆さんは同じ悩みを抱えています。周囲の目を気にして、何もしなければ病気は治りません。次回以降、ご本人が勇気を出して講演会にご参加頂き、正しい治療を受けられるきっかけになれば幸いです。