NPO法人 日本アレルギー友の会

ぜんそく・アトピー性皮膚炎実践講座と患者交流会開催レポート

2017年3月18日

第23回アレルギー週間協賛事業
実践講座 ぜんそく部門

「直近のアレルギー疾患の話題と患者交流会」に参加して

 

実践講座が日本アレルギー友の会事務所で行われた2月25日(土)は、穏やかな晴天に恵まれました。
今回は専門講師の講演は無く、武川副理事長の「アレルギー疾患対策基本指針」作成の経緯と課題、新しい治療法の紹介に続き、患者交流会が行われました。
初めに同じ病気を持った人達で、日頃感じている心配事、相談したい事を含め自己紹介を行い、よりお互いを知り合う事で、会の雰囲気は何でも話せる場となりました。  

1 武川副理事長より「アレルギー疾患対策に関する基本的な指針」の紹介


この指針は平成26年6月に成立した「アレルギー疾患対策基本法」に基づき設置された「アレルギー疾患対策推進協議会」の議論を踏まえて取り纏められ、本年3月に告示されました。(本紙3月号に記事)
アレルギー疾患は国民の二人に一人が罹患し、国民病と言われています。
基本法では、「国や自治体、医療関係者、学校などの責任を明確にし、アレルギー疾患対策を総合的にかつ計画的に推進する」とうたわれ、三つの基本理念が挙げられています。
(1)居住する地域に係わらず、等しく適切なアレルギー疾患医療を受けられるように医療の均てん化を図る。
(2)患者の生活の質の維持向上のための支援体制の整備、および研究の推進とその活用発展。
(3)専門性の高い医師の育成と医療機関の整備、他の医療従事者の教育と育成、相談体制の整備。
当会武川副理事長は基本法を受けた協議会の場で、患者目線で多くの議論・提案を行い、指針は患者が望む必要な取り組みの方向性が示されている、と言うお話でした。

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2 新しい治療法の紹介

ゾレア、ヌーカラ、気管支サーモプラスティ(BT、本紙532号に記事)について資料が配布され、武川副理事長から説明が有りました。
ゾレアはIgE抗体の受容体への結合を阻害するとともに高親和性IgE受容体の発現を低下させ、ぜんそくに効きます、ヌーカラは好酸球の働きを制御し、炎症を抑え、ぜんそくに効きます。BTは内視鏡を用い、気管支の筋肉を温め、筋肉が収縮する力を弱めます。
これ等の治療法は何れもぜんそくの薬をきちんと使用していても発作が出てしまう重症の方を対象としているものです。
しかし参加者の関心は高く、今コントロールが出来ていても将来悪化した場合の治療法として検討の必要を感じている方も居りました。これらの治療を用いる場合は、適用基準と費用の面も考え、十分主治医と相談して行うことが注意点として挙げられました。

3 桜井友の会会員の司会で患者交流会

今回の参加者は、初めて実践講座に参加された方、結婚されたばかりの奥様がご主人同伴で参加、長年当会で活動されている方など、色々な経験をお持ちの方々が集まりました。
桜井さんの司会で、この機会に是非とも相談したい心配事や日頃悩んでいることを聞き、それに対し参加者の方から経験や考えなどを提供して頂きました。主な相談事を紹介いたします。
(1)風邪を引くとぜんそくとなり、プレドニンの内服や抗生剤を用いても治りが遅く長引きます、こんな経験は有りますか?
子育て中ですと、お子さまから風邪をもらいい易く、二次感染は治り難いという説も有ります。しばしばぜんそくが重症化するというお話ですと、日常の薬の量が少ないのでは?とも感じます。風邪を引く前後の状況をぜんそく日記などで記録し、主治医と相談されると良いと思います。風邪は長引く事が有りますが、途中で薬を止めず、しっかりと直すことが大切です。
(2)今回は主人と一緒に来ました、私は子供の頃からぜんそくが有りますが主人はぜんそくの知識が有りません。結婚したばかりです、今後一緒に生活していく上で注意することは有りますか?
夫婦間でも親子でも、ぜんそくの状態や苦しみを相手に伝える事は中々難しいことです。今回ご主人が一緒に参加され、ぜんそくの経験者からお話を聞き、理解しようとする姿勢は、大変素晴らしいことです。
自分の体調を相手に伝えるには、気分に左右されない客観的な指標で表すことが大切です。そのためにピークフローを使う事をお勧めします。ピークフローの値をぜんそく日記に記入しておくと、時系列で体調の変化が判りますので、主治医の診察の時にも役立ちます。吸入ステロイドをお使いですが、使い方が難しいので、練習用の器具を用いて試してみましょう。(全員で音を出して確かめてみる)
喘息であっても、妊娠、出産をされた方は沢山居りますので、ご安心ください。
しかし、妊娠初期は発作の激しい咳で流産された方もいます。体調の管理には十分気を付けることと、日頃から経験のある呼吸器科の専門医に診ていただくことが大切です。
交流会で出された、心配事や悩みについて、全員で考え、経験談を話し合い、有意義な時間を過ごすことが出来ました。
 

2月26日(日)開催 

アトピー性皮膚炎実践講座レポート

 冬の寒さも和らぎ、春の到来を思わせるおだやかな天気となった2月26日(日)、友の会事務所にてアトピー性皮膚炎の実践講座ならびに患者交流会が開催されました。年配の方から小さいお子さんを連れたお母さん、二十代の若い男性までさまざまな立場の方にお集まりいただきました。共通しているのは自分または自分に近しい人がアトピーに悩まされており、何とかしたいと切実に思っていることです。それぞれの方が少しでも良くなる方法やきっかけがつかめれば、との思いを抱きつつ、会が始まりました。

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第一部 実践講座「医師とのコミュニケーションをとるために」

 実践講座では、友の会の療養相談員でもある丸山事務局長が講師となり、医師とのコミュニケーションをテーマに診察前の準備、診察室で聞くべきこと、会話のテクニックなどのレクチャーが行われました。私たち患者にとって通院は欠かせないものですが、長く続けているとつい定期的に薬をもらいに行くだけになりがちです。通院を有意義なものにするためには次のような工夫が必要です。

・診察前に聞くポイントを紙に書き出し話の優先順位をつける。

・脱ぎやすい服装で行き、必ず診てほしい部位を確認しておく。

・患部を見せ、外用薬を塗る場所、回数、期間、量、方法を具体的に聞く。 

   ・質問する事項に対し、想定問答を考えておく。

・医師から納得のいく回答や説明を得られるような質問の仕方を心掛ける。

 このほか、医師も一人の人間であり、良好なコミュニケーションを保つ努力を患者側を

惜しまないこと、治療のモチベーションを継続するために友の会の療養相談を利用したり講演会に参加したりすることなどが紹介され、参加された方々の熱心にメモを取る姿が見られました。

 また、治療の目的を医師と共有し、目的に向かって自ら積極的に治療していくための手段として、医薬品や治療法の研究開発を行っているサノフィ㈱が作成した「そらいろレタープロジェクト」が紹介されました。これは、診察時に悩みや聞きたいことを生活状況やライフスタイルに合わせて整理し、簡潔にわかりやすく伝えるツールで、ネット上に開設されています。学校・仕事・対人関係・恋愛・結婚など、これまで医師に相談することは想定していなかった、しかし自分ではかなり気にしている思いを具体化し、本当に悩んでいることを明確に示すことができるのが特徴です。作成には友の会も協力しています。うまく活用すればより的確なアドバイスをいただくことができるかもしれません。興味のある方はぜひサイトをご覧になってください。

http://www.allergy-i.jp

第二部 患者交流会

 患者交流会はより近い距離で話ができるよう、机を取り払いイスだけで車座になるレイアウトで開始しました。

自己紹介を兼ねて現在の自分の状況やこれまで病気と向き合ってきた経歴などをお話ししてもらい、それぞれの方が思うところを自由に述べ合いました。今回は患者本人であるお子さんと一緒に参加されたお母さん二組のほか、やはり子どもの症状に気を揉んでいるお母さんが三人も参加されていて、親の立場からの悩みや心配事についてさまざまな意見が取り交わされました。家事や仕事をこなしつつ、子どもの病気や健康にも気を配って生活を組み立てていくのは実に大変なことです。子どもが小さいうちは住まいの環境、学校生活、食事、病院探しなどが主な課題ですが、自我が芽生え成長するにつれ、接し方や距離の取り方、意思疎通などが大きな問題となってくる傾向があるようです。アトピーの症状が若い時期、特に多感な思春期から二十代にかけて精神面にもたらす影響はかなり大きなものがあり、本人がどう考えているかをつかむのは意外に難しく、家族がどのように関わりサポートしていくかが重要なポイントとなるのではないか、と思いました。

 その他、最近発表された新しい治療薬の開発につながる大学の研究発表のこと、実践講座から続く話題で医師のかかり方、薬の種類、塗り方などが話題になり、あっという間に時間が過ぎていきました。

 ともすれば改善しない皮膚症状に嘆き、それに加えて生活上の面倒やうまくいかないことが重なったりすると、精神的に落ち込んでどうしても前向きになれないことがあると思います。そんな時こそ一人で悩まずに人とつながり、励ましあってともに歩んでいく仲間がいれば大きく違ってくるのではないでしょうか。そんな仲間が一人でも増えてくれればいいと切に願っています。

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参加者の声

あきらめずに、気長に

 二人の子どもと一緒に参加しました。上の子は4歳の女の子で幼稚園生、下の子は1歳7か月の男の子です。今まで引っ越しが多く、住まいが変わるたびに病院を探すのが大変で、医師によっても微妙に言うことが違ったりして、いい先生に巡り合うのはなかな難しいです。だいぶ食べられるようになりましたが、食物アレルギーもあり、風邪を引いて体調を崩すとかなり症状が悪化するので、いろいろと大変です。皆さんそれぞれ悩んでいることがあり、治療も一人ひとり違うということがわかりました。同じお母さんの立場からの意見やいろいろな話を聞けたのが良かったと思います。悩んでいるのは私だけではないということが分かりましたので、これからもあきらめずに、気長にやっていこうと思います。(30代女性)

自分に合った薬を使いたい

28歳で発症しました。一時期はかなり症状が悪化して、夜2~3時間くらいしか眠れず、そのまま仕事に行く、という状態が続いたこともありました。書店で友の会が出している本を読み、皮膚科専門医のところに通うようになって現在まで治療を続けています。外用薬や保湿薬にもいろいろな種類があり、皆さんの話から役に立つ情報を得られたのがよかったと思います。今はだいぶ落ち着いていますが、改めて今かかっている先生と相談のうえ、自分に合った質の良い薬を選んで使うようにしたいと思います。  (40代男性)