NPO法人 日本アレルギー友の会

6月10日開催 講演会・Q&Aレポート

2018年8月 4日

「専門医に聞く 良くなるための治療最前線」レポート

去る6月10日に今年度第一回目となる講演会が行われました。当日は台風が近づいており、天気が心配されましたが、案じられたほどの崩れはなく、会場はほぼ満員となりました。たくさんの参加者.JPG

 今回は「専門医に聞く 良くなるための治療最前線」と題して、いつものようにアトピー性皮膚炎とぜん息それぞれの専門医お二人にご登壇いただきました。

 

 

 

 片桐一元先生(独協医科大学埼玉医療センター皮膚科主任教授)は、ご自身が幼少期からアトピー性皮膚炎を持っていることもあり、お話の内容は実践的なことが多く、患者としてはとても有益な講演でした。皮膚科医だからと言って必ずしもアトピーの診療にたけているとは限らないことや、さらに中にはアトピーに関わることを避けたがる医師もいるなど、患者としてショッキングな内容もありま

片桐先生.JPG

したが、医師の選択はやはり重要であることを再認識することができました。

 

 

 

 

 

 

 ぜん息の長瀬洋之先生(帝京大学医学部内科学講座 呼吸器・アレルギー学)もご自身がぜん息患者とのことです。長瀬先生には、ぜん息とCOPD(タバコ肺)の発症の原因や治療法の違い、リモデリングを防ぐための方法、最新の治療薬などについてお話しいただきました。調査によるとぜん息患者のコントロ

P1080729.JPGのサムネール画像

ールはあまりうまく行われておらず、その原因は、治療方針に遵守していなかったり、吸入薬を適切に吸入できていないことが多いそうです。ぜん息もアトピー性皮膚炎も、患者自らが症状を改善していくための技術と知恵を身につけなければなければならないということですね。

 

 お二人の講演に続いて、ミニ講演「患者が知りたい検査値の見方」が行われました。ぜん息部門には、庄司俊輔先生(河北総合病院アレルギー科)にご登場いただP1080717.JPG

き、気道炎症、気道過敏性、気道可逆性の測定方法とそれに使われる機器についてのお話を伺いました。

 

 

 

 

アトピー部門はおなじみの江藤隆史先生(東京逓信病院)です。アトピー性皮膚炎では検査値にはそれほど頼りませんが、実際の症状と相関性の高い指標としてP1080743.JPGTARC(タルク)についてお話いただきました。その中で、最近実際に使われ始めた新薬(デュピルマブ)をステロイドと併用した際のTARCの変化を示すデータが紹介されました。それによるとかなりの改善が見られるようで、期待が高まります。

 

 休憩をはさんで、後半は「講師を囲んでQ&A」の時間です。アトピー部門には約40人、ぜん息部門には約20人の方が参加して下さいました。アトピー部門では、食物アレルギーや腸内環境は影響するかどうか、汗疱の対処法、自分のアトピー体質が子どもに遺伝するのではないかという不安など、幅広い質門が寄せられました。また、前述の新薬についての質問が複数あり、関心を持っている方が多いことが伺えました。

 ぜん息の方はアトピーに比べると少人数だったためか、一人一人の質問に二人の先生が質問者とその場でやり取りしながら丁寧に回答していました。参加者にとって有益な時間となったら嬉しく思います。

【展示コーナーを見る来場者】

展示コーナーを見る参加者.JPG

 

 

 

 

 

 

 

アトピー性皮膚炎Q&A

アトピー性皮膚炎部門の「講師を囲んでQ&A」は同じ会場で先生を囲む形式で行われます。当日は天候が悪いにもかかわらず会場はほぼ満席で、講演に続きアトピーO&Aには大変多くの方がご参加いただきました。

 本日ご講演いただいた片桐先生と当会常任顧問の江藤先生も、いつも以上の参加者の熱気と人数の多さに驚かれておりました。毎回、先生の正面1列目の座席はみなさま遠慮されがちなのですが、今回は患者さんご本人が参加され、先生の回答をしっかり伺いたいという姿勢で1列目から座席が瞬く間に埋まっていきました。座席が足らず、椅子を会場の端まで置きすぎて、先生が通れないことに気づきスタッフが慌てて座席配置を変えることもありました。P1080766.JPG

 今回は事前にいただいた質問票の数も多く、時間内に全ての質問に答えられるか心配はありましたが、江藤先生のユーモア溢れる司会と、片桐先生のリズミカルな回答でテンポよく進んでいきます。

今回講演いただいた片桐先生は、ご自身がアトピー性皮膚炎と喘息の患者であるということで、日常生活の些細悩み、例えばワイシャツの選び方、薬の置き場所はどこが最適か、塗り薬は自分ではなく、家族に塗ってもらったほうがいいのか、腸内環境を整えるには流行りのL92は効くのかなど、日頃すごく気になってはいるけれど、これを主治医の先生に聞いていいのかと迷うような質問に、ご自身の経験と医学の知識を合わせ回答されていきます。また、その回答に参加者だけでなく、江藤先生や丸山理事も驚いたり納得されているのがとても印象にのこりました。続いて、話題の新薬についての質問も大変盛り上がりました。注射の新薬については、江藤先生から詳細な説明があり、また、今回偶然その新薬を使ったことがある方や、主治医から新薬を勧められた方もいらっしゃいましたので、金銭面での問題、使用頻度の問題、また、新薬が終わった後のリバウンドがあるのか、ステロイドとの併用など、とても具体的なお話がありました。アトピー患者である片桐先生ご自身も、この新薬はとても効くような気がする、使ってみたいとお話されており、多くの方が熱心にメモをとっておりました。

 本日の質疑応答は順次「あおぞら」に掲載されます。今回のO& Aは患者としてとても共感できる内容がいっぱい詰まっております。どうぞ楽しみにお待ちください。

ぜんそくQ&A

梅雨の雨の中にも関わらず、第一部の講演会は盛会でした。引き続き第二部のぜんそく部門Q&Aは、同じフロアの別室で行なわれました。

Q&Aは、事前に質問票で提出された質問に対し、ミニ講演をされた庄司俊輔先生が司会をされ、ぜんそく治療について講演をされた長瀬洋之先生が回答してくださり、当会理事長の武川がサポートするという形で行われました。参加者は別室が満席の二十名を超えて盛況です。P1080761.JPG

質問は二十問を超えて居りましたが、庄司先生が上手に配分され、予定の午後四時前に終了と成りました。

&Aの多くの質問は、主治医の治療に対する確認や、ぜんそく治療で現れた症状に対して、講師の先生にセカンドオピニオンとしての御意見を伺うものでした。

特に関心の高かったのは、新しい治療法、ゾレア、ヌーカラ、気管支サーモㇷ゚ラスティ(BT)を自分に適用する場合の、適正に関しての質問です。

ゾレアは、アレルギーで重要な役割をするIgEの発現を押さえます。ヌーカラは好酸球の働きを制御し炎症を抑えるものです。

BTは気管支内視鏡を用い、気管支内の筋肉を温め、収縮する力を弱めるものです。

これらの治療法は、何れもIgEや好酸球の値が高い人が対象となります。

長瀬先生が強調されたのは、これ等の治療法は、今受けている治療法では治りにくい重症の患者さんが対象であり、しかも、治療にかかる時間、体力の有る無し、費用が掛かるなどの問題が有る事です。また、治療を行った後でも、従来の治療法が軽減されるにしても、継続することも有りうること、などでした

先生が講演でお話されたように、ぜんそくを良くコントロールするには、治療を確実に継続する事、吸入ステロイドの吸入方法が適切である事、そして環境の整備が基本です。その上でコントロールが十分できない時に新治療法の適用を考える、と言う事をよく理解しましょう。

講演会とQ&Aには毎回出席しておりますが、新しい治療法や参加される方々の悩みをお聞きしますと、自分の治療に対して新たな刺激を受けます。今回は、先ずは自分の吸入方法を改めて基本に戻って実施しよう、と思いました。

秋には又、講演会や講師を囲んでのQ&Aが有りますので、多数の皆様の参加をお待ちしております。