NPO法人 日本アレルギー友の会

普通の生活ができる幸せ

2010年9月 8日

アトピーを良くしようと始めた民間療法で生きているので精いっぱいというところまでどんどん悪化してしまった山本さん。そこから立ち直って、今ではPTAの役員や仕事もがんばる元気なお母さんになりました。

(東京都 山本千鶴さん / 女性 / 38才)

山本千鶴さん.JPGみなさん、こんにちは。山本千鶴と申します。今日は体験談ということで、自分の苦しかった時のことを話してもらえないかしら、と友の会の方に頼まれまして、いいですよ、と簡単に引き受けてしまいましたが、このような場で話した経験はなく、うまく話せる自信もありません。しかし、アトピー性皮膚炎患者として同じ悩みを持つ人と、少しでも分かり合えればと思い、今日はお話させてください。

私は、小さい頃より皮膚が弱く、なかなか皮膚科とは縁がきれません。10代、20代の頃は、湿疹が悪くなると病院へ行き、薬をもらって塗り後はほっとく、ということの繰り返しでした。その頃は、弱い薬、強い薬など考えず、手元にある薬を適当に塗っておく、ということをしていました。今思うと、あまりにもずさんで、ひどいことをしていたと後悔しているのですが、とにかく病院へ行くのが面倒くさくていやだったのです。それに、かゆくて毎日よく眠れずどうしようもないという状態ではなかったということです。

平成7年に子どもを産みましたが、その子を妊娠した時から、また頻繁に湿疹ができる様になりました。産んでからは、睡眠不足、育児ストレスなどから、常にかゆい状態が続くようになりました。子どもに手がかかるのに、体がかゆくてイライラすることがよくありました。平成9年の8月に、アトピー性皮膚炎の子どもを持つ友人に勧められた病院へ行ったら、入院した方がいいと言われ、息子は2歳でしたが実家でみてもらい、1週間ほど入院しました。入院中は、ゆっくり眠ることができ落ちついた状態で退院しましたが、しばらくするとまた元のようにかゆくなってしまい、結局ステロイドの薬を塗っても治らないのかな、と思うようになりました。

また、その頃、ステロイドを使うことにより、アトピー性皮膚炎をより悪くして、皮膚が黒ずんでくるようになる、という情報を耳にするようになり、民間療法で治った人の話を聞いたりしているうちに、ステロイドの薬を使ってはいけないのではないか、使うからアトピー性皮膚炎が治らないのではないだろうか、と思うようになってしまいました。

そして、これもまた別の友人の勧めなのですが、マイナスイオンの出る機械をお風呂に入れて、悪いもの、老廃物などを体から出し治していく、というマイナスイオンの出る機械を高いお金を払って買いました。その機械を売っている会社で、今まで何人もの人がこれを使って治っている、ステロイドは副作用の強い悪い薬なので、絶対使わない方がいいと言われ、とにかく治りたい一心だった私はそれを信じ、ステロイドの薬をいっさいやめ、マイナスイオンのお風呂にはいる、ということを始めました。始めたとたん、まず脚が曲げられないほどむくみ、腕、顔とどんどんむくんでいき、それと同時に皮膚は赤くなり、体の中からわき上がる様な猛烈なかゆみと、皮膚がやぶけていくのではないかと思うほどの痛みが続くようになりました。あまりのひどさに、普通に家事をして子どもを育てていかれる状態ではなくなり平成9年の11月から、家族で私の実家に世話になることになりました。

それから平成13年の2月に友の会へ来るまでの3年4ヶ月ほどは、体のむくみ、赤み、痛み、襲ってくるようなかゆみ、血が出る、滲出液がでる、夜眠るということが出来なくなり、まさに地獄のような日々をただひたすら我慢して過ごしました。今思うと、なぜあんなに我慢し続けたのか、私ってほんとに我慢強いなあと、あきれるほどでした。ただただ治りたい一心で、マイナスイオンのお風呂にはいれば必ず治る、どんどん悪く、かゆくなるのはいい方向へ向かっているからだ、体の外に悪いものが出て行くからなんだ、と思い込みひたすら我慢をし、一日中体をかいて過ごしていました。       

家族にも、随分と迷惑をかけました。息子は私が病気と言う事で保育園に入れ、母に送り迎えをしてもらいました。母も最初はずいぶん心配してくれましたが、そのうち私たちが実家にいることに疲れてきたようで、人に愚痴をこぼしたりしていました。私は申し訳ないとは思うもののどうする事も出来ず、一日も早く良くなり実家をでたいと思っていました。主人はどうしたものやら、という感じで、特になにもしてくれませんでした。何をしたらいいのか、どうしたらいいのか、わからなかったようです。

やはり、家族の中に病気でいつもユウウツでイライラしている者がいると、周りの人もいやな気持ちになることは良くわかります。そんな気持ちにみんなをさせている自分がとてもいやでした。そして、良くなることだけを願っているのに少しもよくならず、毎日イライラしっぱなしでした。

平成12年の春と秋、ちょうど季節の変わり目には、顔にブツブツとできウミが出てきて顔の皮膚が見えないほどウミだらけになってしまい、むくみで痛くて、ウミでまつ毛がくっついて眼もはっきり開けられず、口も普通には開かないので、食べ物を幼児が食べるように小さく切り分け一つ一つ口に運ぶ、ということもありました。もう、ここまでひどく化け物のようになってしまうと、生きているだけでもありがたいのかもしれない、と思いました。

なぜここまでひどいことになっているのに我慢していたかというと、やはり、アトピー性皮膚炎を完全に治し、きれいな皮膚になりたい、かゆい体はもういやだと、強く思っていたからでした。アトピー性皮膚炎ということを受け入れられない状態でした。しかし、3年経っても良くなる気配すらなく、また息子の卒園式、小学校入学式にもこのままでは出られない、こんな状態ではもう人前に出られない、電車にも乗れない、社会生活が送れない、やはりなんとかしなければ、このまま一生家の中に閉じこもっていなければならなくなってしまうと思い、怖くなりました。

それで保健所でしたか保健センターでしたか忘れてしまいましたが、そこのアレルギー担当の方に、アレルギー友の会へ相談してみるよう勧められました。そして、友の会の方に話を聞いていただきました。その時の私は、首やあごから滲出液が出て痛くて痛くて首にタオルを巻いている有様でした。情けない声を出していたと思います。

友の会の方に励まされ、病院を紹介して頂き、平成13年の2月からまたステロイド軟膏による治療をしています。ステロイドを使う事に抵抗はあったのですが、もうこのまま我慢はしていられない、正しい知識を身に付け、じょうずに使っていこうと心に決め治療を始めました。顔には、プロトピック軟膏を使い始めたら最初はかゆくなり心配だったのですが、どんどん良くなりました。

それからは、ひどくなる様なことはなくなりました。しかし、完全に湿疹が消えたわけではありません。今でも毎日のようにかゆいです。かゆいけれども、薬でうまくおさえつつ普通の生活をおくっています。今は、私のアトピー性皮膚炎は治らないと思っています。治らなくても、人より皮膚が荒れていても、「私は病気です」、などと暗くならず、積極的にいろいろなことをしていこうと努力しています。今は仕事もしていますし、小学校のPTA役員も引き受け、あの苦しい3年半がうそのように忙しい毎日を過ごしでいます。

いろいろな情報があり、またいろいろ親切だと思い教えてくれる人もいます。特にテレビに出ているとか、有名だとかで、それを信じ誤った治療をしてしまう方が今でもいると思います。みなさん病気を治したいのだからその気持ちもよくわかります。私もそんなひとりでした。アトピー性皮膚炎は死んでしまう病気ではありませんが、とても辛い病気です。友の会は、そんな方の味方になってくれる所です。友の会へ行っても病気が治るわけではありません。でも同じ痛みをわかってもらえるだけでも心の支えにはなるはずです。周りで悩んでいる方がいらしたら、どうぞ紹介さし上げてください。

アトピー性皮膚炎で悩んでいるみなさん、普通に生活できる日がきっと来ます。前向きに、あまりがんばり過ぎずすごしていきましょう。ありがとうございました。

現在、使用中の薬

  • ポララミン 6mg
  • ジルテック錠10
  • サリチル酸ワセリン、ロコイド軟膏0.1%
  • サリチル酸ワセリン、リンデロンVG軟膏0.12%
  • リンデロンVG軟膏(指のひどい所用)
  • プロトピック軟膏0.1%
  • 吸水軟膏